研究実績の概要 |
Toll-like receptor (TLR)は病原体成分を認識するセンサーである。核酸特異的TLRは、リソソームに局在し、その応答制御には、リソソームにおける核酸分解な ど、代謝機構が深く関与している。そこで、本研究では、核酸の分解などの代謝機構と核酸認識機構の関係を明らかにする。本年度は、リソソームのヌクレオシドトランスポーターの遺伝子改変マウスおよび、TLR7との2重欠損マウスの解析を進めた。また、ヒトにおいて、このトランスポーターの機能低下型遺伝子変異はヒト、マウスにおいてヒスチオサイトーシスを誘導することから、ヒスチオサイトーシスにおけるTLR7の関与について解析を進めた。さらにTLR7とヒスチオサイトーシスとの関係を解析するために、細胞株を用いた解析を進めた。TLR7を発現させたIL-3依存性細胞株で、TLR7依存的な生存・増殖の誘導が認められるかどうか、検討した。また、ヒトでは、TLR7に加えて、TLR8も単球・マクロファージで発現している。そこで、TLR8についても、ヌクレオシドトランスポーターとの関係を検討するために、細胞株による解析を進めた。最初にTLR8を発現させた細胞株の確立を進めた。 また、RNaseについては、マクロファージにおける発現を調べたところ、RNase4, RNase6, RNaseT2の発現が確認されたため、これらの遺伝子欠損マウスの作成を終え、解析を進めた。RNaseT2遺伝子欠損マウスにおいて、RNA特異的TLR応答の増強、および減弱が認められた。この結果は、RNaseT2がRNA特異的TLRの応答を正にも負にも制御しうる可能性を示している。現在、ほかのRNaseについても、遺伝子欠損マウスの表現型解析を進めている。
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