研究実績の概要 |
本年度は、各種学会等(19th Yonsei-Hokudai Workshop, 2017 Asian Meeting of Economic Society)で受けたコメントをもとに、動学的一般均衡モデルを用いた分析の改訂を実施した。 また、同論文を展開する形で、新たな分析を実施した。これまでの学会での分析では、資産価格の変動が担保制約と組み合わさることによって、景気循環上大きな役割を果たしえるとする研究がみられる一方、粘着的価格・賃金設定をはじめとする、景気循環で重要とされる各種のメカニズムを組み込んだ標準的なニューケインジアンモデルでは、設備投資の効率性に関するショックが景気循環上重要とする研究も存在する。こうした論点について理解を深め、景気循環の主要な源泉を把握するため、両者を統合したモデルを作成し、推計作業を実施した。その結果、(1)土地価格が重要とする先行研究の結果は、労働供給の弾力性に関する仮定に強く依存していること、(2)担保制約と組み合わされると投資の効率性ショックは主要な景気循環要因とはならないこと、の2点を明らかにした。さらに、別の拡張的な分析として、担保制約の下での資産価格を通じた政策の可能性として、日銀による株式買入の効果に関する分析を実施した。 これらの研究を、各種の国際学会・会議(4th IAAE Annual Meeting, 2017 Asia-Pacific Conference on Economics & Finance, Joint Symposium of Five Leading East Asian Universities )にて報告し、ディスカッションペーパーとして対外公表した。
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