広報研究における主要テーマの1つ「組織とパブリックとの関係性 (OPR)」に関する既存理論を見直し、OPR構築・維持のメカニズムを解明することにより、広報の役割を再定義した。その役割とは、組織内の複数の部門に存在する対境担当者(組織と環境を連結するコミュニケーター)間の情報共有と協働を支援し、組織の意思決定に必要な情報の調整に寄与することである。日本企業30社を対象として実証分析を行った結果、環境(部門間の統合の必要性を高める要因)が広報部門の活動、および企業メッセージに影響を及ぼすことが確認され、統合の必要性が高い環境では広報部門が上記の役割を果たすことがより重要であることが示唆された。
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