時間・空間反転対称性がともに破れた系に現れるトロイダルモーメントに関する微視的な理論形式の構築と、実験的にどのようにして観測・制御できるかを調べた。(1)結晶場、スピン軌道相互作用、電子相関による対称性の破れを取り入れたモデルに対して、摂動論を用いることにより、トロイダルモーメントが秩序化した際に生じる有効的なスピン軌道相互作用を導出した。(2)2次元三角格子上のスピン軌道相互作用が強い強磁性体において、非磁性不純物をドープすることで、トロイダルモーメントが不純物周りに誘起されることを明らかにした。(3)トロイダルモーメントを示す候補物質である5d電子系酸化物KOsO4に対して解析を行った。
|