これまでに報告されている最も長い炭素-炭素(C-C)単結合は1.791(3)Åである。本研究では、そのような極度に伸長したC-C単結合の伸長性/切断性に基づく応答系の構築を目標とした。一方、応答系の構築には、より長い結合の持つ「伸長性」が有効に機能すると考えられ、1.8Åを超える結合長を有する化合物の創出を目指した。その結果、長く弱い結合(コア)を剛直なsp2炭素骨格(シェル)で保護するような「分子内コア-シェル構造」に基づく分子設計戦略によって、1.806(2)Åという世界最長のC-C結合長を有する化合物を見出した。この1.8Åを超える結合領域を『超結合』と呼ぶことを提唱した。
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