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2016 年度 実績報告書

新規ポリカルボニル化合物の合成と分子認識材料・機能創出への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H06592
研究機関北海道大学

研究代表者

吉岡 翔太  北海道大学, 工学研究院, 助教 (20775770)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワードポリカルボニル化合物 / 構造有機化学 / 酸化的カップリング反応 / オリゴマー
研究実績の概要

本研究のベースとなるカルボニル基を高密度に集積した脂肪族ポリカルボニル化合物のオリゴマーを効率的に合成・単離することに成功した。
3,3-ジメチルペンタン2,4-ジオンを出発原料としてエノールシリルエーテルへの変換と酸化的カップリング反応を繰り返すことで、効率的にアセチルアセトン誘導体をオリゴマー化できることを見いだした。特に酸化的カップリング反応では種々検討の結果、酸化銀を用いた場合に収率良くアセチルアセトン誘導体のエノールシリルエーテルをカップリングさせることができた。合成したオリゴマーはサイズ排除クロマトグラフィーによって安定に単離することができた。得られた2量体や4量体などは分子内に多数のカルボニル基を持つにもかかわらず、1,3-ジカルボニル構造の中央の炭素上に2つのメチル基を導入しているため、クロロホルム中ではエノール化などは観測されずNMRおよび質量分析によって構造解析することができた。更に2量体や4量体ではエノールシリルエーテル化は末端カルボニル基選択的に反応が進行したため、酸化的カップリング反応によるオリゴマーの更なる伸長が可能で有り、最大で分子内にカルボニル基を16個持つ8量体までの合成に成功している。これらオリゴマーは安定に単離できる一方で、カルボニル基としての反応性は失われておらず、オリゴマー上に集積したカルボニル基を用いた分子認識材料への応用や、更なる変換反応を展開するための基盤となる分子の合成に成功したと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3,3-ジメチル2,4-ペンタンジオンに対してクロロトリメチルシランを作用させることでエノールシリルエーテルへと変換した。特に、クロロトリメチルシランと共にDBUを塩基として用いることで選択的にモノエノールシリルエーテルを合成できることを見いだした。モノエノールシリルエーテルを酸化銀を用いて酸化的カップリング反応を行うことで3,3-ジメチル2,4-ペンタンジオンの2量体を49%の収率で得ることに成功した。さらに2量体に対しても同様のエノールシリルエーテル化に続く酸化的カップリング反応を用いることで4量体、8量体をそれぞれ11%、4%の収率で得ることに成功した。得られた最大のオリゴマーである8量体は脂肪鎖上にカルボニル基を16個持つ化合物で有りながら、安定に単離することが出来、NMRおよび質量分析によって構造決定できた。

今後の研究の推進方策

今後はこれまでに得られている3,3-ジメチル2,4-ペンタンジオンの多量体に対して金属イオンを添加することでその相互作用について解析を行っていく予定である。また、同時に合成した多量体の結晶化条件の検討を行い、単結晶X線構造解析による詳細な構造解析を行う。さらに、現在得られている直鎖条のポリカルボニル化合物を環化させることによって環状にカルボニル基を配列することも目指す。この環状ポリカルボニル化合物は、環サイズに応じた、異なるサイズの分子やイオンへの認識能を示すことが期待できる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] アセチルアセトン誘導体の酸化的カップリング反応による効率的オリゴマー合成2017

    • 著者名/発表者名
      吉岡翔太、上坂光晴、今創一郎、堂本悠也、藤田誠、猪熊 泰英
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市)
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [学会発表] 1,4-ジカルボニル化合物の多量化反応によるオリゴマー合成2016

    • 著者名/発表者名
      吉岡翔太、堂本悠也、猪熊 泰英
    • 学会等名
      第27回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島市)
    • 年月日
      2016-09-01 – 2016-09-03

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公開日: 2018-01-16  

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