研究課題
本研究では、腫瘍微小環境を再現したin vitro転移モデルを開発し、転移のメカニズムを解明することを目的とした。この転移モデルでは、原発巣としてヒト前立腺がん細胞 (PC3-GFP) のマウス皮下移植腫瘍の細切片とコラーゲンIの混合塊を原発巣ディッシュ上に静置し、転移巣としてヒト骨髄間質細胞(HS-5)とコラーゲンIの混合塊を、別の転移巣ディッシュ上に静置し37℃でインキュベートして固定化したあと、それぞれのディッシュをPolyethyleneチューブで接続し、蠕動ポンプを用いて培地を循環させた。転移巣と見立てたディッシュには原発巣ディッシュ由来のPC3-GFPが確認され、3次元 in vitro 転移モデルの最適化および確立がなされた。原発巣・転移巣ともにコラーゲン塊表面を血管内皮細胞による被覆(より忠実に生体内現象を再現)や画像イメージングの取得においてまだ不十分な点があるが、このin vitro モデルの開発により(1)微量遊離がん細胞から、遺伝子発現解析(ALDH、CD133、CD44などの幹細胞マーカー)や、(2)治療剤(アビラテロン、エンザルタミド、ドセタキセル、カバジタキセル)の効果を予測することが今後期待される。虚勢抵抗性前立腺がん患者に対して国内で保険収載されている薬物治療薬はアビラテロン、エンザルタミド、ドセタキセル、カバジタキセルと多数存在する。一方で、これらの薬剤の治療効果予測マーカーは依然として存在していないため、個々の患者の遺伝子変異型、分子生物学的特徴に基づいた個別化の医療が切に求められている。このin vitroのモデルを応用することで、投与前の薬物治療の効果を予測することができるならば、患者の負担軽減につながるだけでなく、虚勢抵抗性前立腺がん患者の予後の改善に大きく寄与するものと考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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