研究課題
申請者は平成28年度において、授乳期マウスに低Ca餌を給餌することによって低Ca血症状態を誘導することで、骨細胞周囲の骨基質が融解することを検索した。授乳期マウスにBP製剤であるアレンドロネート(ALN)を投与することで、破骨細胞の活性を抑制し、破骨細胞の影響を排除した環境下で骨細胞周囲の骨基質が溶解することを、准超薄切片によるvon Kossa染色観察、透過型電子顕微鏡観察(TEM)にて明らかにしてきた。平成29年度はそれに加えて、プロトンポンプであるV-ATPaseを構成し、破骨細胞および腎臓にも検出されるd2サブユニットと、破骨細胞に特異的なa3サブユニットを免疫染色および金コロイド法によるpost-embedding法を用いた免疫電顕を行ったところ、授乳期マウスの骨細胞にd2サブユニットを検出した。このことから骨細胞は酸を産生し、周囲の骨基質を溶解している可能性が強く示唆された。次いで、融解した骨基質が再度石灰化するかを検索するために、破骨細胞が存在しないRANKL欠損マウスを用いて、PTH投与後の骨基質を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察すると、骨小腔壁を取り囲むようにして、一層の骨基質を観察することができた。その層の外形は凹凸を示し、溶解して拡大した骨小腔壁の外形と一致しており、一度溶解した骨基質の周囲に骨が添加された可能性が推測された。これはカルセイン標識による蛍光顕微鏡観察にて骨小腔周囲にカルセイン標識が観察されたこと、およびCa安定同位元素を用いた同位体顕微鏡観察において骨小腔周囲の未石灰化領域に一致してCa安定同位元素が沈着していたことからも、骨細胞は周囲の骨基質を溶解し、その後、石灰化沈着を行う可能性が強く示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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