研究課題
本研究ではAg 担持型ナノカーボンスキャフォールドを創製し,歯周組織再生効果を実証することを目的としている.ナノカーボンとして再生医療分野での開発が期待されている酸化グラフェン(GO)を使用した.Ag担持型酸化グラフェン(日本触媒)を用いて,コラーゲンスキャフォールドをコーティングし,Ag-GOスキャフォールドを作製した.コラーゲンスキャフォールドとAgを担持していいないGOスキャフォールド,Ag-GOスキャフォールドの3群の比較評価を行い,in vitroではSEM観察・圧縮強度,細胞培養試験,細菌培養試験を行った.in vivoではラット背部皮下に埋入し,生体親和性を組織学的に評価した.SEM観察の結果,スキャフォールドは一様にフィルムに覆われ,コーティング後もスキャフォールドは内部空間を維持し,圧縮強度測定ではGO,Ag-GOスキャフォールドで向上した.細胞増殖量はコーティング前後での変化はさほど認めなかったが,細菌培養ではAg-Goスキャフォールドで細菌増殖の抑制を示した.また,ラットでの組織学的観察ではスキャフォールド周囲への炎症性細胞の浸潤も認めず,生体親和性は良好であった.コラーゲンスキャフォールドに比較してGO群でスキャフォールド内部へのイングロースを観察した.イングロース面積はAg-GOスキャフォールドで最も高い値であった.以上よりGOコーティングはスキャフォールドの特性を向上させ,Ag-GOスキャフォールドは抗菌性を発揮できる可能性が示唆された.
2: おおむね順調に進展している
平成28年度の計画における,Ag-GOスキャフォールドを作製し,物性評価を行った.in vitroの細胞培養試験と細菌培養試験による抗菌性評価はおむね終了し,平成29年度ラット頭蓋骨への埋入及びビーグル犬での骨再生評価へ移行できる見込みである.
平成28年度はおおむね計画通り推進できた.平成29年度はAg-GOスキャフォールドに含有されるAg量の定量試験の追加と,ラット頭蓋骨への埋入及びビーグル犬での骨再生への影響を評価する.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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