腸内細菌の培養上清の中で最も強い癌細胞の増殖抑制効果を発揮したL.casei ATCC334の培養上清を繰り返し分離し、抗腫瘍活性物質フェリクロームを同定した。フェリクロームの抗腫瘍効果は5-FUやシスプラチンの効果を上回り、これらと併用することで相加効果が認められた。フェリクロームは小胞体ストレス経路を活性化させ抗腫瘍効果を発揮した。フェリクロームの立体構造に基づいた分子シミュレーションによりフェリクローム認識分子群を見出した。癌モデルマウスにフェリクロームを投与すると腫瘍増殖の抑制効果が発揮され、薬効が認められた10倍量を連日投与しても死亡個体はなく、血液検査値にも変化を及ぼさなかった。
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