複合型下垂体機能低下症の新たな発症原因として、患者に認められたPIT1β変異(PIT1β-T152G)の病的意義の検討を行った。PIT1β-T152Gは、下垂体ホルモン産生に重要なPIT1αの産生を抑制し、通常下垂体では発現量の少ないPIT1β(PIT1β-T152G)発現の増加が示唆された。PIT1β-T152Gは、その下垂体ホルモン産生に与える転写活性はPIT1αより低いだけでなく、PIT1αに対し、抑制的に作用することが判明した。以上のことから、PIT1βの変異が複合型下垂体機能低下症の病態を惹起しうることを初めて示した。
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