本研究では造血幹細胞としてヒト胎盤/臍帯血から高純度にCD34陽性細胞を分離精製し,ヒト造血幹細胞の放射線影響に関与する遺伝子及びその発現に至るシグナル伝達を明らかにすることを目的とした.造血サイトカイン非存在下では2 Gy X線照射後にRB/E2FやEst、p53などの発がんに関係した発現調節の他、C/EBPなどの発生に関連した発現調節経路が亢進していた一方で、放射線防護効果を発揮するサイトカインの組み合わせ(遺伝子組換えヒトTPO + IL3 + SCF)による培養では、CD44シグナル伝達の特異的な亢進が認められた。ヒト造血幹細胞の放射線応答に対するCD44シグナルの重要性が示唆された。
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