研究課題/領域番号 |
16H06617
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沖田 ひとみ 東北大学, 大学病院, 助手 (30400451)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 生体機能利用 / 再生医療等製品 |
研究実績の概要 |
エクソソームは細胞から分泌される脂質膜構造を持つ40-100nmほどの粒子である。その膜上及び小胞内には様々なたんぱく質、核酸、脂質を含んでいることが報告されている。発見当初は不要な物質を排除する機構と考えられていたが、分泌されたエクソソームが他の細胞を刺激することが確認されており、細胞間のコミュニケーションツールとして注目されている。また、繊維芽細胞、内皮細胞、血液細胞などを含む正常細胞やがん細胞などの異常な細胞からも分泌され、分泌された細胞情報を反映することからバイオマーカーとして病態との関連の解析が進んでいる。そこで本研究ではin vitroで感染性物質により刺激される宿主側の変化をエクソソームの量的、質的、及び経時的変化から解析することで、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験等に加えて、新た評価試験方法として再生医療等製品の安全性評価に有用であるかの検討を行うことを目的とした。 今年度はHUVEC培養上清を検体としてエクソソーム解析による感染性物質の抽出、検出方法の選定、至適化を行うための前段階となる濃縮及び精製方法の検討のために各々の検体からWB解析によりエクソソームの代表的なマーカーであるCD9の検出を行った。しかしながら安定的な検出がされず、その要因として濃縮、精製等のエクソソームの収量が微量であることや培養液に用いたFBS中のエクソソームによる阻害が要因とも考えられた。次年度は引き続き回収、精製方法の検討やexosome-depletedFBSによる検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養上清回収の為の安定的なHUVECの培養ができず、上清回収に期間を要してしまった。その結果CD9の検出の為の上清の濃縮、精製方法の検討に遅れをとる形となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、エクソソームの検出方法の検討を行う。また検出方法を検討後、培養細胞へ代表的な感染性刺激物質を添加して刺激し、分泌されるエクソソームの量的、経時的変化を検討する。複数の細胞株を用いて細胞間の違いも検討する。 さらに今年度は培養作業者が感染源となる皮膚常在菌等の環境微生物等を中心に生菌と細胞株との共培養を行い、分泌されるエクソソームの抽出、解析を行う。 また、エクソソームを用いた新たな評価方法を確立させるため、微生物評価方法としての感度は大事なファクターとなる。そのため、現行で行われているエンドトキシン法とエクソソーム解析法との比較検討を実施する。実験実施結果に基づき、予め生菌感染量を固定し、共培養した培養上清を用いて、エクソソーム解析とエンドトキシン濃度測定を同時に行い、感度の比較検討を行う。
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