研究実績の概要 |
本研究は、健常者と神経変性疾患患者を対象に、他者からの社会的評価における価値表象プロセスの加齢に伴う生理学的変化、脳損傷に伴う神経学的変化の背景にある神経基盤を多角的な脳イメージング法を用いて、脳の機能的側面と構造学的側面から明らかにすることである。具体的には、評定課題を用いて(1)加齢変化を検討するため健常若年者と健常高齢者を比較、(2)神経学的変化を検討するため健常者とパーキンソン病患者の比較を行い、脳画像データの関連を検討する。これらのデータを相補的に検討することで、価値表象プロセスの包括的理解を進められると考えている。そして本研究で得られる成果は、心理学および神経科学の分野に資するだけでなく、新たな治療法やリハビリテーション方法の開発にとっても重要な知見となり得る。 本年度は、申請者が過去に行った先行研究(Kawasaki et al., 2016, Neurosci Res)で用いた評定課題を本研究課題に応用させ、新たな実験刺激の作成と予備実験として明らかな認知機能の低下がないパーキンソン病患者数名に対して行動実験を施行した。患者群で得られた結果から、実験全体での疲労度や課題の難易度等を考慮し、修正を加えている段階である。脳画像データの取得に関しては、患者への行動実験後に身体状態を確認しながら進めていく予定である。
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