研究実績の概要 |
アルツハイマー病 (AD)の確定診断は脳内のアミロイドβ(Aβ)蛋白とタウ蛋白という病理診断によって行われ、生前にはProbable ADまでの診断しか行うことはできない。このため、生前から可能なAD診断ツールとして, PETによる脳内蛋白イメージングが注目され、近年ではタウPETトレーサーの開発が進んでいる. ADにおいて, 脳内タウ蛋白は認知機能すなわち病期と相関するとされており, タウPETを用いた研究でも同様の結果が得られている. 認知症の病期は認知機能のみならず日常生活動作 (ADL)によっても定義され, タウ蛋白蓄積はADLとも相関すると考えられる. 剖検脳内のアミロイドβ (Aβ)・タウ病理像やすでに開発済みのアミロイドPET, FDG PETとADLとの関連を検討した報告は散見されるが, タウPETによる報告は無い. 本研究ではタウ蛋白を標的として開発されたPETトレーサー[18F]THK-5351を用い、AD患者、軽度認知障害(MCI)患者におけるトレーサー集積とADLとの関連を検討する。これによりADの予後予測および病態解明の一助となると考えられる。平成28年度にベースライン評価(PET scan、神経心理検査、ADL評価)、平成29年度に同項目における2回目の評価を実施し、経時的変化を検討する。また[18F]THK-5351の集積パターンとADL低下項目との関連につき解析する。平成28年度はベースライン評価を完了している。
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