電子渦生成のためのホログラムをレーザー干渉を用いて作製するための基盤技術の開発を行った.そのために,フォトリソグラフィーに用いる紫外波長領域の光渦光源の開発と,波長1μm領域のフェムト秒レーザーを用いたレーザー干渉加工の実証の,2つを行った. まずHe-Cdガスレーザーに点欠陥ミラーを導入して紫外波長領域の光渦光源を開発した.He-Cdレーザーは442 nmの青色と325 nmの紫外光の2つの波長で発振する.442 nmでは比較的品質の良い光渦を生成することに成功しが,325 nmではLG01モードの比率が低かった.複数の点欠陥ミラーを設計してLG01モード比の変化を系統的に観察したが大きな改善は得られなかった.考察の後,品質を制限する要因がHc-Cdガスの放電管の設計に依っていることが判かった.LG01モードの光渦をマッハチェンダー干渉計に導いてチャージ2の位相特異点を有するフォーク型の干渉縞が生成できることを確認した.計画ではガウスビームとLG01モードの光渦を用いてチャージ1のパターン生成を目指しているため,周波数位相同期して干渉に利用するためのHe-Cdガスレーザーをもう1台導入するかどうか,検討が必要である. 並行して,パルスエネルギー40uJのフェムト秒レーザーを用いてレーザー干渉加工によりホログラムを作製することを試みた.レーザーを分岐した後に片方のビームを空間位相変調器を用いてLG01モードの光渦に変換した.光渦,ガウシアンビーム,試料表面のための観察系の3つの光学系を組み合わせたレーザー加工光学系を設計し,2つのビームの焦点と照射位置,および光学遅延器を用いて時間同期を行い,レーザー干渉加工を行った.その結果,シリコン試料の表面にフォーク状の干渉模様を加工することに成功した.今後は加工パターンの精度向上が課題である.
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