研究課題
本研究では以下の検討を行った。1.抗膜蛋白A、B抗体の陽性率の検討と臨床的特徴の解析。膜蛋白A、Bを過剰発現する細胞を作成し、フローサイトメトリーを用いて血清検体の抗膜蛋白A、B抗体活性を測定した。高安動脈炎46人における検討では、抗膜蛋白A抗体は36.9%に検出され、抗膜蛋白B抗体は30.4%に検出された。両者陽性は4%、両者陰性が36%であり、各々が高安動脈炎の主要な自己抗体であることが明らかになった。他膠原病にても検討を行い、全身性エリテマトーデスにて4%程度に抗体活性を認めたが、いずれも低力価であることから、抗膜蛋白A、B抗体は高安動脈炎の特異抗体であると考えられた。更に臨床所見についての解析を行い、抗膜蛋白A抗体、抗膜蛋白B抗体が異なる臨床特徴を呈することが明らかになった。これらの結果から、抗膜蛋白A抗体、抗膜蛋白B抗体を臨床応用できる可能性が考慮された。2.血管内皮細胞に対する抗膜蛋白A、B抗体の作用の解析。高安動脈炎における抗膜蛋白A、B抗体の病変形成能を検討するために、抗膜蛋白A、B抗体をヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)と共培養することにより、血管内皮細胞機能の解析を行った。膜蛋白A、Bに対するリガンドの添加により、TNFαによるHUVECの接着分子発現が減弱することが確認された。更に抗膜蛋白A、B抗体を添加することでHUVECの接着分子発現が亢進し、更に膜蛋白A、Bのリコンビナントタンパクを添加することにより接着分子発現が減弱した。これらの結果より、定常状態では膜蛋白A、Bにより血管内皮細胞の活性化が抑制されていること、そして抗膜蛋白A、B抗体が出現することにより、血管内皮細胞の活性化抑制が働かず、接着分子発現が亢進することが明らかになった。この内皮細胞活性化により更なる白血球の炎症部位への誘導が起こり、血管炎症を増悪していることが考慮された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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