研究課題/領域番号 |
16H06646
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松永 篤志 東北大学, 医学系研究科, 助手 (70781730)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 災害 / 地域見守り / 保健師 / 看護学 |
研究実績の概要 |
東日本大震災の様な大きな災害後は、その被災者に様々な精神的・身体的健康問題が起こるため、それらの健康問題を早期に発見し、適切な支援につなげることが重要である。その対策の一つとして、東日本大震災で被災した自治体の多くが、保健医療福祉の専門職や地域住民が協働して地域での見守り活動を実施している。しかし、被災地に特化した地域見守り際の観察ポイントが示されておらず、手探りの活動が続いている。本研究は、災害被災地でより効率的・効果的な地域見守り活動の実施ができるようになることを目指し、東日本大震災(以下、震災とする)被災自治体で実施されている地域見守り活動の見守り対象者の特徴を明確化し、地域見守り活動の観察ポイントを示したアセスメントツールを開発することである。 平成28年度は、地域見守り対象者の特徴を抽出するため、一被災自治体の公的な地域見守り活動従事者同士の情報交換の会議の議事録(以下、議事録とする)を質的に分析する研究に着手した。具体的な実施内容及び成果は、①研究者所属施設倫理委員会(平成29年1月)に研究の倫理審査申請書を提出し承認を得たこと、②研究の対象となる一自治体と繰り返し打ち合わせを行った上で、当該自治体に研究協力に対する依頼を行い、協力の承認を得たこと、③議事録の匿名化とその確認作業が一部終了したことである。議事録の匿名化および、その確認作業は現在も継続中であるが、平成29年5月上旬には完了し、その後、データ分析を開始する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗が「やや遅れている」理由は、研究協力を依頼した自治体の承認を得るまでに時間がかかったことに加えて、当初の想定より議事録の記録内容の量が多く、議事録の情報の匿名化および、その確認作業に時間がかかっているためである。
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今後の研究の推進方策 |
1)「被災自治体における地域見守り活動対象者の特徴の抽出」を継続して行う 【研究デザイン】既存資料をデータとする質的研究【研究フィールド】岩手県大槌町(岩手県大槌町は東日本大震災の被害が大きかった自治体の一つである)【データ収集】①分析する資料:被災自治体の保健師等の行政職員、生活支援相談員等の公的見守り活動従事者が、地域見守り対象者に関して情報を共有する会議の議事録を行政より入手し分析する。岩手県大槌町では、会議が平成24年より開始され、開始当初からの資料が行政に保存されているということであり、分析する資料は平成24年~平成28年末の会議録とする。②データ収集方法;個人情報が匿名化されたデータを、研究フィールドとなる自治体の許可を得た上で代表研究者が入手する。【データの分析】Strauss & Corbin (1998)の手法を参考にデータを質的に分析する。
2)地域見守り活動の際の観察ポイントを示したアセスメントツールを開発する これまでに明らかにした被災自治体における地域見守り対象者の特徴を基に、アセスメントツールの項目の原案を作成する。そして、デルファイ法を参考に重要度の観点から項目の原案を精緻化し、被災地における地域見守り活動の際に留意するポイントを示したアセスメントツールとする。【研究デザイン】デルファイ法を参考にした横断的調査研究【対象者】被災自治体で地域見守り活動を実施している保健師等の保健・福祉の専門職【方法】対象者にアセスメントツールの原案のそれぞれの項目について、被災地における地域見守り活動の際に留意するポイントとして重要かについて尋ねるアンケートを実施し、項目を精緻化する。
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