【背景】災害の被災者には様々な精神的・身体的健康問題が起こる。それらの問題を早期に発見し適切な支援につなげるため、東日本大震災、長野県北部地震の被災地では地域での見守り活動が実施されている。どのような被災者を見守るかについて、平時では観察ポイントが示されているが、被災地での見守りポイントについては十分に検討されていない。そのため、2017年に、研究者らは東日本大震災に被災したA自治体の地域見守り活動に関する記録から、見守りポイントの案を作成した。本研究ではそれが東日本大震災、長野県北部地震で被災したA自治体以外でも妥当なものであるかを検討した。 【方法】デルファイ法を参考にしたアンケート調査を実施した。調査対象者は、東日本大震災、長野県北部地震に被災した自治体で、応急仮設住宅の建設を要請した自治体の地域包括支援センターで、管轄地域内に応急仮設住宅が建設されたセンターを対象とした。その中でも、管轄地域内の応急仮設住宅等の高齢者の様子を一番把握している職員1名にアンケートの回答を依頼した。対象となった地域包括支援センターは84箇所であったが、見守りポイント案を作成するためにご協力いただいたA自治体、研究協力後に震災以降に新設されたと連絡のあった自治体は除外し、82箇所を対象とした。 【結果】以下の見守りポイントで90%以上の同意率を得た。それは、身体的な症状がある、精神的な症状がある、気になる言動・状況がある等の「見守り対象者本人の状況」に関する項目、対象者に迷惑行為がある、対象者と周囲の人の折り合いが悪い、必要時に関わってくれる人が十分にいない、同居する家族の増減がある等の「対象者と周囲の人との関係性」に関する項目、医療・保健・福祉サービスを適切に受けていない、移動手段がない、住まいに問題がある、住まいを移動するという「生活環境や社会資源の状況やその利用」に関する項目であった。
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