本研究では、原子力災害対策を主として担う地方自治体が、災害対策の充実度の観点から原子力安全規制においても一定の法的役割を果たすべきと主張するとともに、その実効性を担保するための方策を提言した。 具体的には、避難計画の合理性を原子炉設置許可要件として明文化すること、避難計画の策定主体を地方自治体とすること、避難計画の合理性について国と地方自治体の判断に齟齬が生じた場合には、地方自治体に対する説明義務を国に負わせることを提言している。同制度により、国が合理的な理由なく地方自治体の判断を否定することは困難になり、地方自治体の第一次的な判断権限を実質化することが可能になるはずである。
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