研究実績の概要 |
2016年度は,研究1(尺度開発)と,研究2(縦断研究)の1回目を実施した。 研究1(尺度開発)については,以下の通りである。1対象者:高校生約1500名と大学生約600名を対象に質問紙調査を実施した。また,項目表現の理解度を調査する必要が出てきたため,高校生300名にWeb調査を行った。2調査内容:未来結果の熟慮尺度(Joireman et al., 2012),セルフ・コントロール尺度(Tangney et al., 2004; 尾崎ら, 2016)などを用いた。3手続き・分析結果:尺度の原著者のJoireman先生と協力しながら,バックトランスレーションの手続きを踏んで,項目を翻訳した。分析の結果,先行研究と同様に,双因子モデルの信頼性が高いことが示された。また,内的整合性の値も,各下位尺度で.76以上であり,時間的安定性も十分であった。相関係数も先行研究通りであったため,十分な信頼性,妥当性を有する尺度が開発されたといえる。 研究2(縦断研究)については,1回目の調査を終えた。詳細は以下の通りである。1対象者:高校3年生580名を対象にウェブ上で調査を実施した。調査はクロス・マーケティング株式会社に委託した。2調査内容:未来結果の熟慮尺度(Joireman et al., 2012),大学生活への期待(千島・水野, 2015),生活満足感尺度(橋本, 1994)などを用いた。3結果については,縦断調査であるため,3回目のデータが揃った後に分析を行い,報告する。 その他,国際比較に向けた研究の打ち合わせを,ワシントン州立大学のJoireman先生と行った。Joireman先生とは,2018年9月に行われる18th European Conference on Developmental Psychologyにて連名発表を行うことが決定した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年4月~7月に,研究1(国際比較)を実施する。(1)対象者:アメリカ,イギリス,日本の高校生300名ずつを対象に,質問紙調査が行われる。アメリカでの調査はMello先生に依頼し,イギリスでの調査はリヴァプール・ジョン・ムーアズ大学のMcKay先生に依頼する。(2)調査内容:未来結果の熟慮尺度(Joireman et al., 2012),時間的態度尺度(Worrell, et al. 2013; Chishima et al., 2014),主観的幸福感尺度(Lyubomirsky et al., 2000; 島井, 2004) 2017年8月~9月に,研究2(縦断研究)の2回目の調査を実施する。(1)対象者と(2)調査内容は1回目と同一である。これまで得られた結果を日本心理学会第81回大会で発表を行う。 2017年10月~2018年1月に,研究3(教育的介入)を実施する。(1)対象者:高校生200名(実験群100名,統制群100名),(2)調査内容:ベースライン測定,効果測定,フォローアップ測定には,未来結果の熟慮尺度(Joireman et al., 2012),学習動機づけ尺度(西村ら, 2011),進路成熟度尺度(松井, 2001)を用いる。 2018年2月~3月に,研究2(縦断研究)の3回目の調査を実施する。(1)対象者と(2)調査内容は1,2回目と同一である。 以上の研究を,協力者らと協議しながら着実に進めていく。研究計画の変更はないが,海外のデータの入手等が難しくなった場合は,協力者に既存のデータを提供を求める。
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