角層の主要な蛋白質であるロリクリンを欠損するマウスでは、透過性亢進によって化学物質塗布による皮膚炎の悪化が予想された。予想通り、アレルギーの表現型を呈しやすいBALB/c背景では、アトピー性皮膚炎様あるいは尋常性乾癬といった代表的な皮膚炎の悪化に関連する所見が得られた一方で、c57BL/6あるいはFvB背景では、一次刺激性皮膚炎、ハプテン誘発性の皮膚炎といった代表的な皮膚炎モデルでは炎症が反対に抑制され、その抑制は表皮ランゲルハンス細胞の欠損によって一部解除された。本研究は、表皮組織状態に依存して免疫反応(エフェクター機能)が制御されていることを示す、画期的な結果である。
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