基板上に形成した人工脂質膜(SLB)は、その二次元性から膜タンパク質の分子構造等の理解に役立つ。一方で基板との接触による構造変形や配向性の欠如が膜タンパク質研究において障害となっている。基板との接触を低減し、膜タンパク質を特定配向で固定化することが必要である。本研究では、平坦なマイカ上に、膜タンパク質の特定部位に結合する自己組織化単分子膜(SAM)を作成し、その上に SLB を形成した。膜外領域の大きさが上下で異なる膜タンパク質の分子サイズ計測からその配向が揃ったことを確認した。膜タンパク質の不活性化を低減し、特定配向の膜タンパク質の構造解析が可能になった。
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