研究課題/領域番号 |
16H06682
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白藤 翔平 東京大学, 人工物工学研究センター, 特任研究員 (80779330)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | ワイヤ拘束 / ロボット脚 / 非円形プーリ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、先に提案したワイヤと非円形プーリを用いて関節間の運動を任意の軌道に拘束する手法を、2足歩行ロボットの脚機構に応用し、効率良く脚を駆動するための機構の設計をおこなった。具体的には、はじめにワイヤ拘束によって実現する脚の軌道を設定した。通常の2足歩行は上体を支えながら前方へと加速させる、支持脚機と、脚を前方に振り出すことで次の一歩に備える、遊脚期が存在する。これを考慮し、支持脚期には上体が回転しないように拘束しながら、遊脚の運動の妨げにならないように上体を持ち上げる軌道を設定し、遊脚期には脚が地面につくことなく前方へと支持脚期の初期姿勢へと脚を運ぶ軌道を設定した。このような軌道を設定したうえで、逆運動学を解き対応する関節軌道を求め、ワイヤの拘束によってこの関節軌道を実現するための非円形プーリの形状を算出した。また、先の軌道を設定するする上で、支持脚期と遊脚期でワイヤの拘束が互いに干渉しない設計に間しても検証し、この条件を満たす非円形プーリの形状を求めた。この設計により、ロボットの上体を脚機構を用いて前方に送り出す際に本来は必要となる、上体の重量を支えるのに必要なエネルギを大幅に低減させることが可能となる。 平成28年度は、これに加え、ワイヤの拘束を切り替えるために拘束状態と非拘束状態を切り替える際に必要となるロック機構に関しても提案、開発をおこなった。ワイヤは基本的には平ベルトに置き換えることができることから、ここでは平ベルトの運動を任意の位置でロックすることが可能で、大きな張力が加わった場合にも堪えることができ、また、負荷が加わった状態でもロックを解除することのできる機構を提案した。これによって、ワイヤ(ベルト)拘束を用いた脚機構において状況に応じて拘束を切り替えることも可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に計画していたロボットの製作と歩行実験までには至らなかった。これは、ワイヤ拘束の干渉に関する制約を解決する必要が生じたためであるが、最終的には年度内にこれを解決したワイヤの配置と非円形プーリの形状を求めることができた。そのため、あとはこの設計に基づいた実機を制作するだけで実験が可能であり、おおむね、計画通りの進捗が得られたと考えられる。また、この問題を解決するなかで、新たなロック機構を開発することに成功するなど、計画外の成果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には先に設計した非円形プーリを用いた2足歩行ロボットを製作し、ワイヤ拘束により自重が補償されることで、従来のロボット脚よりもエネルギの消費の少ない歩行が実現されることを実験によって示す。また、開発したロボット脚に取り付けられた上体による重心位置の制御による歩行の安定化や、それに必要なセンサ系を先に提案したワイヤ拘束を考慮し、提案する。これらを早期に実現できた場合には、提案したシステムを走行へと応用し、提案手法の有効性を示す。
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