研究実績の概要 |
持続可能なエネルギーシステムでは資源や供給の条件にあった的確なエネルギー選択が需要家に求められる。本研究では、需要家のエネルギー選択、および、技術やシステムの情報共有の関係にエネルギーリテラシーがかかわっていると仮定し、アンケート調査を行いながら、リテラシー評価手法の開発、および、両者の関係性の解明を行う。エネルギーの選好性を測定するアンケート調査では、発電に伴う温室効果ガス排出量などシミュレーターを用いて計算可能な数値を需要家にわかりやすい形で組み入れ、その上で、技術・システムの社会実装に必要な情報共有とリテラシー普及の要件を明らかにすることを目的とする。 本研究目的を達成するため、平成28年度では以下のように研究を進めた。一点目として、エネルギー専門家や研究協力者とのディスカッションを通じて、初年度に開発したエネルギーリテラシー評価手法の改良を行った。二点目に、将来世代のリテラシーやエネルギー選択の重要性に着目し、高校生にもアンケート調査を行った。三点目として、成人約1,300名にアンケート調査を実施し、再生可能エネルギーへの支払意思額を仮想評価法によって計算した。先行研究を含め、選択型実験を用いて計算した再生可能エネルギーへの支払意思額が高い値になることが多かっている。再生可能エネルギーの導入が進んだ場合と進まなかった場合に、どのような影響が生じうるのか理解していないままに回答をした可能性を考慮し、そのような情報を与えた場合に回答が変化するのか、再生可能エネルギー発電促進賦課金の支払い額について質問することで、検証を行った。以上の研究について、国際学会やセミナーで発表を行うことで、論文執筆に際し重要な意見や今後の研究課題に関する有益なアドバイスを得た。
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