研究実績の概要 |
歩行運動の美的側面に関して、1)美歩行運動の法則性, 2)美歩行運動時の中枢神経系の活動を検討することを目的として、プロのファッションモデルの歩行動作計測実験を行った。被験者に「美しく歩くことを意識」させることにより、歩行運動の美醜情報伝達というコミュニケーション過程における動作の客体(観察者)から主体(歩行者)への影響を検討することに成功した。 得られたモーションデータから全身の関節の関節角度・速度・角速度の計算をし、ファッションモデルの歩行と一般女性の違いを抽出した。モデルの歩行運動の正確なキネマティクスデータを計算した初めての試みである。また、被験者の歩行運動の美醜判定実験を行うため、キネマティクスデータから3次元のアニメーションを作成した。美醜判断は男女各25名に全被験者のアニメーションを観察させてVAS評価をさせる予定である。VASの項目として「美しいvs.醜い」では抽象性が高すぎる可能性が高いため、身体運動と心理的側面の関係性を反映したラバン理論の言語を元にした項目を作成した。 今後の予定として、歩行観察による美醜判断実験を行い被験者の歩行をランク付けを行う。VASの各項目の得点から、歩行運動の美醜を判定する総合的な関数を作成する。さらに、そうした美醜得点に関与する物理的特徴量を検出すること、同様に歩行運動の美醜と関与する脳活動、筋活動を検討することを予定している。得られた結果をまとめ、学会発表および論文執筆する。
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