H30年度は、昨年度実施できなかった高齢障がい者の日常身体活動および健康状態に関する実態調査を行った。調査は協力を承諾してくれた障がい者スポーツおよび福祉施設で実施し、質問紙によるアンケート、そして体組成計測として体重、周囲径、皮脂厚計測を行った。アンケートは障がい、既往歴、痛み、環境要因といった基本情報に加え、日常身体活動評価としてPhysical Activity Scale for Individuals with Physical Disabilities(PASIPD)、そして運動に対する意欲の評価としてBehavioral Regulation in Exercise Questionnaire(BREQ-2)それぞれの日本語版を作成し使用した。また、上肢運動機能評価も併せて行い、車椅子駆動力(20 m直線走)、把持動作による力調節課題、ペグボードを実施した。その結果、高齢になってもスポーツに取り組んでいる障がい者は日常身体活動量および運動への意欲が普段、習慣的に運動を行っていない障がい者の人たちよりも高かったが、肥満度については加齢やスポーツ活動の有無よりは、自立歩行が出来ず、普段、車椅子による移動を行っている人たちの方が高く、一方で、生活習慣病などの既往歴や現在抱えている疾患には被験者間で差はなかった。上肢運動機能については、車椅子使用者の方が立位障がい者よりも高く、その中でも力調節課題時の変動係数は、脊髄損傷者が最も低かった。 日常身体活動量を定量化するための上肢、体幹部の加速度計測については車椅子利用者4名に対し、車椅子駆動時の計測を行ったが、体幹部の加速度は駆動速度や個人間での差が見られなかったため、日常身体活動計測を行うプロトタイプの作成については、今後、筋活動の評価など別の手段で活動量を評価する必要性が認められた。
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