本研究の成果は以下の三点である。 第一に、平安京内裏の建物である麗景殿が歴史上でどのように使用されていたかを調査し、『源氏物語』の麗景殿女御(花散里の姉)が平安時代の麗景殿に居住した皇妃たちをモデルとして造型されたことを明らかにした。第二に、皇妃の姉妹たちがどのような時に内裏に滞在するかを史料の調査によって明らかにし、そのことを手掛かりにして『源氏物語』の花散里の内裏滞在のあり方を考察した。第三に、平安時代には当代の帝の母でも妻でもない皇后は内裏に入ることができないという事実を見出し、源氏物語の朱雀帝の治世下で藤壺中宮が内裏外に居住した理由を明らかにした。
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