アンドレ・ブルトンの詩法は当初は「自動記述」による散文詩作品が中心であり、詩的言説は単線的に生成されていたが、1920年代半ばから次第に自由詩作品の比重が大きくなり、改行された詩句ごとに語り直しの可能性が導入され、作品内に複数の始点を含み持つ開かれた詩法へと変化した。30年代にはオートマティスムの新たな探究が行われる一方で、詩的言語を通過させることで物質の持つ潜在的現実を出現させるポエム=オブジェの詩学も追究され、40年代以降の詩的言語を通過させることで現実世界を変容させる実践への道が開かれた。
|