研究課題/領域番号 |
16H06697
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木下 聡 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (40778651)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 室町幕府 / 将軍 / 戦国期 / 発給文書 / 側近 |
研究実績の概要 |
28年度は、全国各地に散らばる戦国期の足利将軍(10 代義稙~15 代義昭まで)の発給した文書と、それに付随して出された側近の文書、各地の大名・国衆から側近に対して出された文書、関連する文書・古記録の記述の集積をするにあたって、自治体史や史料集の購入と、収録文書の確認作業を行い、並行して東京大学史料編纂所で架蔵する影写本・写真帳の閲覧による確認作業を進めた。影写本・写真帳は膨大な量があるため、特に京都府など、都道府県レベルで自治体が史料集を出していない地域を中心にして作業をした。 遠隔地の博物館・史料館・図書館への調査については、山口県文書館(山口県山口市)・島原市図書館内肥前島原松平文庫(長崎県島原市)・蓬左文庫(名古屋市東区)・名古屋市博物館(名古屋市瑞穂区)・毛利博物館(山口県防府市)・福岡県図書館(福岡市)・熊本大学附属図書館(熊本県熊本市)・熊本県立美術館(熊本県熊本市)で、所蔵する史料・寄託されている史料の閲覧をさせてもらい、調査した。 現段階で蒐集した将軍発給文書は、10代義稙が330通ほど、11代義澄が170通ほど、12代義晴が500通ほど、13代義輝が350通ほど、14代義栄が2通、15代義昭が550通ほどになる。ただし多くが無年号文書であるため、年代を比定する作業が今後残されている。側近発給文書については、将軍に比してまだ不十分であり、今後採集する余地がある。また、こちらも年代比定の作業をする必要がある。 成果としては、『東京大学日本史学研究室紀要』21号に、史料紹介として「「大和家蔵書」所収「大和大和守晴完入道宗恕筆記」」が掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初28年度に赴くことを予定していた機関への調査・閲覧は、概ね達せられたと思われる。蓬左文庫のみ調査が途中になっているので、こちらは次年度に再び赴き、継続調査をする必要がある。 自治体史を中心とした史料集からの関係文書採集については、想定していた分量に目を通すことができている。また、史料編纂所架蔵写真帳についても、関東・東北・中部地方は大部分完了し、近畿地方も、醍醐寺や東寺など一部の大量の冊数にのぼる寺社を除き、概ね目を通すことができた。 ただし蒐集した文書の中に、まだ一部整理しきれていないところがある。無年号文書の年代比定についても、史料集によって異なる年代にされているものがあるが、それについての作業は後回しになっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、28年度に採訪することができなかった博物館・図書館・史料館への調査(京都市内の各館や、所蔵・寄託文書を館内で閲覧することが可能な図書館・文書館など)を行っていく。 全国の自治体史や各史料集から、関係する文書・記録を蒐集する作業、史料編纂所架蔵影写本・謄写本・写本・写真帳や、都内にある国会図書館・国立公文書館・国文学研究資料館などの機関が持つ史料にあたって、関係する文書を蒐集する作業も、引き続きしていく。 そして、蒐集した文書の整理と、文書の年代・人物比定作業は、予想以上に時間がかかることが想定されるので、並行して作業を進めていく。当面は、10代将軍義稙の発給文書を編年で整理することを優先的に実行していく。 また、作業の結果得られた知見を文章にまとめることや、新出史料の紹介も、機会をとらえてしていく。
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