研究課題
研究活動スタート支援
平安時代の太政官における行政処理は、前提となる政治観や秩序が根本的に異なる二つの方法が類似した作法をとって併存するという特徴を持っていた。さらに摂関期には、摂政・関白が特定の内容について太政官の行政処理に直接関与するという、太政官への優位性を象徴する行政処理の方法も存在した。また、特定の限られた人物が儀式運営・事案対応にあたる際、事例としては少ないながら政治面での大きな裁量権を個人が有することがあり、このことは中世に顕著になる個人の活動を考える上で注目される。
日本古代史
平安時代の国家の歴史上の位置づけについては、様々な見解がありいまだ一致を見ておらず、議論の進展のためには具体的な制度・システムの分析によってその複雑性・重層性を明らかにすることが不可欠である。本研究はその第一歩として、行政処理や儀式運営・事案対応という太政官の主要業務の検討から、政治意識や秩序、価値観について、一つのものが貫かれているわけではなく複数のものがバランスを保ちながら共存していることを明らかにしたものである。