研究課題/領域番号 |
16H06700
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山中 利晃 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 特任研究員 (30779476)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | モニタリング・モデル / 役員責任 / 会社補償 / D&O保険 |
研究実績の概要 |
本研究は、上場会社の役員(業務執行取締役および非業務執行役員)に関する望ましい責任法制およびこれに対する救済法制のあり方に関して、日本の会社法制が抱える課題とその改善のあり方を具体的に考察することで、学術的貢献とともに、新たな検討が進んでいる会社法制の見直しに関する議論にも貢献しようとするものである。 具体的には、以上について、申請者は既に、博士論文「上場会社の経営監督における法的課題――非業務執行役員の責任と救済を中心に――」において、アメリカ法、イギリス法、日本法を対象とした比較法的考察によって、社外取締役を始めとする監督者に関する責任法制と救済法制のあり方を検討した。本研究は、同論文からの発展であり、各法域の経営者に対しても考察の対象を拡大するとともに、ドイツ法にも分析の対象を拡大するものである。 本研究では、上場会社の役員の責任が問題になる具体的場面として、各法域について、対会社責任と対第三者責任の両方を分析した。前者については、これを、①取締役会や委員会の決議が存在する場面、②他の取締役の行為が問題となる場面、③従業員の行為が問題となる場面、の3類型に区分し、経営者と監督者の責任法制を具体的に検討した。後者については、発行市場および流通市場における不実開示の場面を例として、両者のそれを具体的に検討した。その上で、役員責任に対する救済法制として、主に、会社補償およびD&O保険(会社役員賠償責任保険)を対象に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度には、①経営者の責任法制と救済法制について、アメリカ法およびイギリス法を対象とした比較法的考察を終えるとともに、②ドイツ法における経営者および監督者のそれらについても基礎的な検討を終える計画であり、おおむね計画通りに研究が進展した。この理由として、たとえば、2017年1月~3月にドイツに滞在し、マックス・プランク外国・国際私法研究所に所在する資料を活用できたこと、現地で研究報告を複数実施できたことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
以上のように、本研究については、既に基礎的な検討を終えている段階にある。今後は、関連文献等のさらに網羅的な取得および分析を通して、本研究をさらに推進する計画である。研究成果は今後2017年末から2018年初までを目処に公刊を予定している書籍(単著)において公表する予定である。
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