本研究の目的は、18世紀初頭の投資家の認知バイアスを、綿密な歴史史料分析によって抽出し、そこから金融史研究に行動ファイナンスと行動経済学の視点を実証レベルで導入することにあった。近年、ミクロ経済学や金融論においては、行動主体の合理性の限界を認識し、古典的理論では説明できない限定的合理性や認識バイアスを特定する実証研究が近年盛んに行なわれている。これを踏まえた本研究が目指す大きな目的は、申請者の歴史研究者としてのスキルを最大限活かし、300年前の投資家の経験と認知バイアスを歴史的にボトムアップで再構成することだった。本課題では、この目的に即した史料の蒐集と分析を着実に進めることができた。
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