研究課題/領域番号 |
16H06711
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
間瀬 崇史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任助教 (80780105)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 可積分系 / 離散可積分系 / 代数的エントロピー |
研究実績の概要 |
離散可積分系についての研究を、多次元格子上の方程式の可積分性判定という観点で行った。用いた主な道具は、代数的エントロピー、Laurent性、互いに素条件である。 1.離散戸田方程式を拡張して得られる方程式を調べた。離散戸田方程式の双線形形式をうまく拡張することでLaurent性を持つ方程式の系列が得られるが、これらの方程式が互いに素条件を満たすことを示した。さらに、離散戸田方程式の非線形形式に対応する方程式を拡張後に考え、この方程式の互いに素条件について調べた。その結果、互いに素条件やLaurent性の概念はもう少し拡張する必要がありそうだという結論が得られた。 2.既約性が成り立たないにもかかわらず互いに素条件が成立するような方程式について考察した。定義式自体が因子の積に分解してしまうような方程式の場合、方程式の解も自明に分解してしまうため、決して既約になることはない。しかし、このような場合であっても、方程式の解がどのように分解されるか細かく追うことで、既約性が成立する場合と同様、互いに素条件に関する議論ができることがわかった。 3.多次元格子上の方程式を考える際の領域に関する考察をした。離散双線形方程式の場合には既に考えるべき領域が定式化されていたが、これを他のいくつかの方程式の場合に考察した。 4.特異点閉じ込めを通過するような非可積分系をリダクションして得られる方程式について細かく調べた。方程式が互いに素条件を満たすことを示すとともに、代数的エントロピーの値も求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1次元格子上の方程式に関する解析は当初の予定より少し遅れている一方、多次元格子上の方程式に関しては当初の予定よりも少し進んでいる。総合的に判断すれば、進展はおおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、多次元格子上の方程式の可積分性判定という観点で研究を行う。初年度の研究により、一般の場合を考察するためには互いに素条件やLaurent性の概念を少し拡張する必要がありそうだという結果が得られたので、どのような拡張が適切なのかについても調べる。
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