研究実績の概要 |
申請書には2つのゴールを記した:1つ目は、Advanced LIGO と Advanced Virgoによる観測ラン”O2”において、ブラックホールと中性子星の合体から生じる重力波の低レイテンシ探索システムをアップグレードすること。もう1つは、そのシステムが日本のKAGRA検出器からのデータを使えるように改良すること。これらの目的は達成された。また、東京大学がLIGO Scientific Collaborationに参加できるようにした。米国とカナダにいる研究者と協力しながら、GstLAL重力波検出システムにKAGRA検出器を取り入れ、何種類かのコンパクト天体の合体に対する感度を向上させるべくこのシステムを改良した。この検出システムはO2のデータ取得期間に用いられ、いくつもの重要な発見につながった。たとえば、GstLALシステムはGW170814という、Virgo検出器が初めて観測した重力波を発見した [Abbott, B. P., et al., Phys. Rev. Lett. 119, 141101 (2017)]。また、GstLALシステムはGW170817も発見した。これは初めて観測された中性子星合体からの重力波であり、また、初めて電磁波対応天体が同時観測された重力波天体でもあった [Abbott, B. P., et al., Phys. Rev. Lett. 119, 161101 (2017), Abbott, B. P., et al., Astrophys. J. Lett. 848, L12 (2017)]。カナダにいる共同研究者らとともに、私はGstLALシステムが将来何種類かのコンパクト天体の合体に対してさらに良い感度の検出器にも使えるようにこのシステムを改良した。
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