千葉大学環境リモートセンシングセンターが提供するひまわり8号観測データのうち、バンド13(10.4マイクロメートル帯)およびバンド15(12.4マイクロメートル帯)のフルディスクデータを、ひまわり8号観測が始まった2015年7月から取得し、現在も更新されているデータも継続的に取得している。予備研究でひまわり6号の特別観測データを対象として開発したデータ解析プログラム群を、ひまわり8号通常観測データに適用できるように改良した。ひまわり6号とひまわり8号は観測時空間分解能が異なっており、ひまわり6号は衛星直下で約4km、昼間のみ5分ごとの観測であるのに対し、ひまわり8号は衛星直下で約2km、昼夜通した10分ごとの観測である。この違いに対処するため、プログラム群のデータ入出力部に変更を加えた。その後、発達する積雲の雲頂部を時間的に追跡するアルゴリズムの改良を行った。積雲は水平風の鉛直シアが強い場合には鉛直方向に直上ではなく斜め上方に発達する。このことを適切に扱うため、予備研究ではひまわり6号特別観測で輝度温度極小点が翌観測の同一または隣接するピクセルにある場合に同一の積雲であると見なした。しかし、空間分解能が向上した一方で時間分解能が低下したひまわり8号通常観測では、翌観測で2ピクセル以上離れてしまうことが多くなった。極小点を探索する範囲を単純に広くすると、実際には異なる積雲を誤って追跡してしまうことが分かり、追跡アルゴリズムを工夫する必要があることが分かった。現在は、連続する3観測を用いて、3観測間で同一方向に移動している極小点を捉える手法を採用し、妥当な結果が得られることが確認できている。
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