最新の静止気象衛星ひまわり8号による観測データを用いて、積雲・積乱雲にともなう上昇流(積雲鉛直流)を推定する手法を開発した。さらに、開発した手法を2年間の観測データに適用して統計的解析を行った。 南緯15度~北緯15度の熱帯域では、積雲の検出数は北半球夏季で多く冬季で少なかった。海上の終端雲頂高度分布は、広く認識されている所謂trimodalな構造と整合的であった。高度別の積雲鉛直流分布は季節によらずロバストであることが示唆された。海上、陸上ともに、鉛直流は気温零度高度付近(高度約5km)でわずかに増加する傾向を示し、熱帯域の積乱雲の発達において雲粒の凍結による潜熱放出の重要性が示唆された。
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