研究課題/領域番号 |
16H06721
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 裕美子 (片山裕美子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60748680)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 蛍光体 / ペロブスカイト / 酸化物薄膜 / コンビナトリアル / 残光 |
研究実績の概要 |
本研究では、コンビナトリアルパルスレーザー堆積(PLD)法を用いてペロブスカイト型遷移金属酸化物蛍光薄膜作製により、高輝度長残光蛍光体を開発することである。具体的には、以下の3点を掲げて、研究を進めている。1) 遷移金属Cr3+イオンを発光中心としたペロブスカイト酸化物をコンビナトリアルPLD法を用いて作成し、組成制御によりバンドギャップ、共添加物を変化させる。2) 顕微分光システムによる残光評価システムを構築し、バンドギャップ制御に伴う蓄光特性の変化を評価する。3) バンド端エネルギーと添加遷移金属イオンの局在エネルギーの位置関係を明らかにし、高輝度長残光蛍光体を開発する。これにより固相法を用いたバンドギャップエンジニアリングに比べて、資源、時間を有効に活用して材料探索が可能になる。本年度は、1)および2)を中心にPLD法による蛍光薄膜の作製、顕微分光システムの立ち上げ、光学特性評価を行った。蛍光薄膜の具体的な組成としてLaAlO3:Cr3+を選択し、光学物性評価を透過率、発光励起スペクトル測定などで評価した。顕微分光システムの立ち上げでは、光学顕微鏡にXY移動ステージ、マルチチャンネル分光器を組み合わせ、蛍光、反射スペクトルを測定できる環境を整えた。今後、コンビナトリアル法によりLa(Al,Ga)O3:Cr系の成膜を行い、熱ルミネッセンス測定を含む光学測定を行うことにより組成の選定を進めていく予定である。今後、コンビナトリアル法によりLa(Al,Ga)O3:Cr系の成膜を行い、各種測定を行っていく予定である。また、対外情報発信として、原著論1報、国内学会発表1件、共著論文1報、共著Proceedings1報を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
顕微分光測定系は立ち上がり、高強度蛍光が観測できる体制が整った。しかしながら、薄膜蛍光を測定する上でより高出力の励起光源を用いる必要であることが分かった。今後、薄膜蛍光、残光の観測のため、より高出力の励起光源を購入し、薄膜試料の計測を行っていく予定である。また、PLD成膜装置の故障に見舞われたため、成膜回数を重ねることが困難となり条件だしに当初の予定よりも時間がかかった。しかしながら、対外情報発信としては、原著論1報、国内学会発表1件、共著論文1報、共著Proceedings1報等順調である。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、製膜条件の最適化を図り、La(Ga,Al)O3系の組成変調、および共添加物依存性をコンビナトリアル法を用いて行っていく予定である。
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