今後の研究の推進方策 |
2年目の研究計画は,初年度に確立した微細加工プロセスと計測システムを利用して,内包カーボンナノチューブ(Carbon nanotube, CNT)の熱電性能評価に着手する予定である.まずサスペンド熱電性能評価デバイスにCNTを導入するために必要な犠牲層を周期的に縦に埋め込んだ基板(Periodic nanogrid substrate, PN基板)の製作に着手する予定である.PN基板の製作手順は,(a) シリコン基板表面にアルミナ薄膜を堆積,(b)PN構造をフォトリソグラフィで描画, (c)描画領域のアルミナ薄膜を除去,(d)レジスト除去後,基板表面に酸化シリコン膜を堆積,(e)表面化学研磨で平坦化してアルミナ薄膜に酸化シリコン膜を埋め込む.この手順でPN基板を準備した後,CNTデバイスの製作に着手する予定である.CNTデバイスは,事前研究と同様に以下の手順で電子線描画によって製作する予定である.(a) PN基板上にCNTをスピンコートしてターゲット分子の相対座標を特定した後,ターゲット分子上に計測に必要な金属細線パターンを電子線描画,(b)Cr/Pt金属膜を蒸着してリフトオフ, (c)実験試料のみをネガ型レジストで保護し,酸素プラズマで余剰試料を除去,(d)デバイス構造を電子線描画した後,露出部分の基板材料を反応性イオンエッチングにより除去,(e)露出した基板シリコンを二フッ化キセノンガスで等方性エッチングすることでサスペンド構造を製作,(f)レジストを酸素プラズマで除去した後,ネガ型レジストとグリッド材料を気相フッ酸で除去.このような手順で準備した計測デバイスを利用して280 K-360 Kの動作温度で熱電性能評価を行い,内包の有無による熱電特性の違いや事前研究で確認済みのフラーレン分子の内包効果との違いについて検証をする予定である.
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