申請者は前所属機関のスタンフォード大学において、独自の微細加工技術を開発してカーボンナノチューブ(CNT)がフラーレンの内包によって約50%の熱伝導率の低下など熱伝導性が変調されることを初めて実験により明らかにした。本研究では、現所属機関で同様の実験を行うために不可欠な電気計測システムの構築や試験用のサスペンションデバイスの製作を通じて微細加工技術の習得を行った。また、東京大学の塩見教授や志賀助教、大西特任研究員と共同で分子シミュレーションを行い、申請者の事前実験で観察されたフラーレン内包によるCNTの熱伝導性変調は、CNT分子に加えられた周期的な歪みに由来することが明らかとなった。
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