研究課題
植物ホルモン「ストリゴラクトン(SL)」は、植物の「枝分かれ」という農業バイオマスに寄与する極めて有用な形質を制御している。本研究では、SLの情報伝達系に関わる因子の生化学/構造生物学的解析を押し進め、SL形質に基づく技術開発を目的とした。得られた成果は、植物本来が持っている生長のための潜在能力を顕在化・活性化させるための知見・技術として利用できる。今年度は、まだまだ未解明な点の多いSL情報伝達機構について、その全容解明を目指し、受容体D14を起点に構造生物学的/生化学的アプローチを仕掛け、以下のような成果が得られた。未だに報告されていないSL結合状態のD14を捉えるべく、D14の保存された触媒残基に変異導入を行った。単一/多重変異体の調製に成功し、SL分解活性が消失したことを確認できた。またSL存在下における結晶化スクリーニングではいくつかの条件で結晶が得られ、X線回折測定からデータセットを回収し現在解析を進めている。SL情報伝達抑制因子D53について、全長および各ドメインに分けた複数の発現系を構築した。またそれらの大量発現を行い、単離精製系を確立することにも成功した。調製したD14変異体およびD53は、in vitro相互作用実験に用い、シグナル伝達におけるSL加水分解の重要性を検討できた。さらに、SL-D14-D53三者複合体の結晶構造解析に向けて結晶化スクリーニングを行い、幾つかの候補を見出すことができた。以上の成果は、本研究の目的達成に向けた一連の実験の中で、特にその礎ともいえるものであり、非常に有意義な結果であるといえる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Nature Communications
巻: 8 ページ: 14397
10.1038/ncomms14397