研究課題
家畜の受胎率は、年々低下の一途をたどっている。その原因のひとつに、家畜の発情行動の微弱化があげられる。発情の微弱化の根本的解決には、発情行動のカギを握る脳内の制御メカニズムの詳細な解析が求められるが、これまでは、当時の技術的な制約から神経核全体の刺激・破壊、あるいは薬物投与による発情行動への影響をみたものであり、神経細胞の特定には至っていない。また、これまでの研究報告から、エストロジェンによって活動があがる“視床下部腹内側核に発現するエストロジェン受容体α（ERα）陽性細胞”からは発情行動を促進する生理活性物質が放出され、そのシグナルが中脳中心灰白質(PAG)の神経細胞を活性化させることで発情行動を誘起する可能性が高い。そこで本研究では、エストロジェンによる発情行動発現の分子制御メカニズムを解明することを目的とし、視床下部腹内側核のエストロジェン-ERαシグナリングに着目して研究を行った。今年度は、視床下部腹内側核領域における発情行動発現時特異的にERαと結合する遺伝子配列を、抗ERα抗体を用いたクロマチン免疫沈降sequence (ChiP seq)により網羅的に調べた。実験には発情行動を誘起するために卵巣除去後、高エストロジェンチューブを皮下に埋め込んだラットを用いた。ChiP-seqの結果、視床下部腹内側核領域でERαと結合する発情行動誘起に関連する可能性のある候補遺伝子を多数得ることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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