CMML-iPS細胞、Normal-iPS細胞をそれぞれ血球分化させ、CD34陽性CD43陽性分画である造血前駆細胞(HPC)にSLITRK4のShRNAを導入し転写抑制実験を行った。Normal-HPCではノックダウンの効果がほとんど見られなかったのに対して、CMML-HPCではノックダウンによってコロニー形成能が落ちることを確認できたことから、前年度のノックアウトの実験と併せてSLITRK4がCMMLの治療標的になりうることが示唆された。 また、SLITRK4は細胞内ドメインにチロシン残基を有し、何らかのシグナル伝達に関与している可能性が考えられた。SLITRK4の過剰発現の系を用いて、MAPK/Erk経路やPI3K/Akt経路などのシグナル伝達系のリン酸化について調べたが特に変化は見られなかった。他のSLITRK familyにおいてPTPδやTrkBなどの分子との関係が示唆されている報告があることから、これらの分子との結合やリガンド刺激によるシグナル伝達経路の変化について解析を進めている。 CMML-HPCとNormal-HPCにおける遺伝子発現についてのGene Set Enrichment Analysisを用いた解析から、CMML-HPCでは細胞骨格に関わる遺伝子群が高発現していることを確認した。今後の研究では、この細胞骨格に関わる遺伝子群がCMMLにおいてどのように病態形成に寄与しているかを明らかにし、治療標的となりうるかを調べることとする。
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