研究実績の概要 |
Fli1+/-マウスおよび野生型マウスを用いてブレオマイシン(BLM)誘発強皮症モデルを作成し、病変部皮膚および脾臓におけるCD4陽性T細胞のサブセットを、Th1/2/17細胞およびTh1-, Th2-, Th17-like Tregに注目してintracellular FACSで解析を行った。並行してBLM誘発強皮症モデルの病変部皮膚から線維芽細胞を単離し、real-time PCRを行い、Fli1遺伝子のヘテロ欠損が線維芽細胞の液性因子産生に及ぼす影響について検討を行った。その結果、BLM処理したFli1+/-マウスでは、BLM処理した野生型マウスと比較して、病変部皮膚におけるTh2-およびTh17-like Tregの増加がみられる一方で、脾臓におけるTh1-, Th2-, Th17-like Tregの数に変化はみられなかった。このことから、Fli1の発現低下は皮膚におけるTh2-, Th17-like Tregに影響を及ぼすことが示唆された。線維芽細胞に由来するIL-33がTh2-like Tregの誘導に寄与するという知見に基づき、BLM処理したFli1+/-マウスおよび野生型マウス由来皮膚線維芽細胞におけるIL-33の発現をreal-time PCRを用いて検討したところ、IL-33の発現はBLM処理したFli1+/-マウス由来皮膚線維芽細胞で有意に上昇していた。さらに免疫組織学染色でも同様に、BLM処理した野生型マウス皮膚線維芽細胞と比較してFli1+/-マウス皮膚線維芽細胞においてIL-33が強発現していた。以上の結果から、皮膚線維芽細胞におけるIL-33の発現がBLM処理したFli1+/-マウスにおけるTh2-like Tregの誘導に寄与していることが示唆された。
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