研究実績の概要 |
ターゲットシークエンスと全エクソン遺伝解析結果を用い、新たな難聴遺伝子について検索を行った。 全エクソンシークエンスをおこなったある1症例について、臨床的にwaardenburg症候群の疑いが生じてきたため、症候群の原因遺伝子について点変異を確認した。遺伝子変異の解析は、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)によるリファレンス(hg19)のマッピング、Genome Analysis Toolkit (GATK)での変異検出、annovarによる遺伝子のアノテーションにより行った。得られた変異は、dbSNPと1000 Genomes、Human Genetic Variation Browserの1208人のエクソームデータ、当科の正常症例862サンプルと4種類のデータベースを使用し、登録されているアレル頻度 6%以上の変異は一塩基多型(SNP)として除外した。Waardenburg症候群の遺伝子(PAX3,MITF,EDRNB,EDN,SOX10)について点変異を確認したところ、PAX3:p.R261Xにstopgainの変異を認めた。両親の血液サンプルと本人についてSangerシークエンスを行ったところ、白髪と目の症状を持つ父親にヘテロ変異を認め、症状からPAX3変異がcausal だと推測された。 兄弟で難聴が存在した症例について、健聴の両親と家族については全エクソン解析結果を用い遺伝形式ごとに解析を行った。ホモ接合遺伝形式で4遺伝子に、複合ヘテロ遺伝子で9遺伝子に候補変異が見つかった。コピー数解析も行ったが明らかなコピー数変異は見つからなかった。
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