研究実績の概要 |
H28年度にライブラリー調整を行っていた難聴の症例とその両親についてターゲット検査を行った。解析は、東大病院耳鼻科難聴外来受診した難聴患者が19名、およびその家族42名を対象にした。東京大学医学部倫理委員会の審査・認証を経て、同意を得られた患者を対象にしている。ターゲットシークエンスは、難聴遺伝学的検査でも取り上げられている19遺伝子とUsher症候群とWaardenburg症候群の原因遺伝子をカバーするように計32遺伝子アミノ酸コード配列全体を対象にし、AgilentのSureSelectの試薬を用い、illumina Miseqを用いて解析を行った。得られた変異のうちの除外については、dbSNPと1000 Genomes,ToMMO, 当科でのデータベースに登録されているminor allele frequency 3%以上の変異は一塩基多型(SNP)として除外した。結果、19難聴遺伝学的検査でも調べられている、いわゆるhot spotについて3人の患者サンプルに病因とみられる変異が見つかった(3/19=15.8%)。 3人についてCDH23、USH2A,TMPRSS の常染色体劣性遺伝子に複合ヘテロでの候補のpositionに新規の変異を認めた。 従来の遺伝子検査では解析しえなかった難聴遺伝子の新規の変異部位の探索が可能であった。遺伝子の種類により難聴の程度や進行の有無を高精度に予測することが可能になったため、解析結果によって人工内耳の選択等臨床的に有用な情報を得ることができて速やかな対応が可能となった。元々の試薬から変更し、ミトコンドリアと常染色体を同じ実験系でターゲット解析を行えるようになり当初より進展した難聴遺伝子解析が可能となった。
|