研究実績の概要 |
本申請は、頭蓋顎顔面骨骨折治癒において、どのような細胞が作用し、骨形成にどのように働くのかを解析するために、多能性幹細胞からの骨誘導法をツールとして用いた探索研究として遂行された。 骨芽細胞特異的に GFP を発現する 2.3kb Col1a1-GFP マウス ES 細胞を用い、調査する誘導期間は、①多能性期 (Day 0)、②中胚葉期 (Day 5)、 ③骨格系前駆細胞期 (Day 9)、④前骨芽細胞期 (Day12)、⑤骨芽細胞期 (Day 19)、⑥成熟骨芽細胞 期 (Day 23)を調査し、Dermo1, Runx2, Sp7及びBglapが、それぞれ、Day 9、Day 19、Day 23で発現が多いことが確認され、Runx2, Sp7などの転写因子に関しては、プライマリーの骨芽細胞と同等の発現を認めた。また、2.3kbCol1a1-GFPの高発現や骨芽細胞関連タンパク発現も高い割合で認めている。これらマーカーが、骨折治癒促進に寄与する可能性が高いことが考えられ、現在各段階の細胞に関してのマイクロアレイ解析を進めている。 一方、モデル動物における治癒機構の解明に関しては、細胞と足場素材の最適化を行い、アテロコラーゲンと多能性幹細胞の混合による培養方法と石灰化の評価に関する結果の一部報告している (Zujur D, Kanke K et al. Sci Adv. 2017. May; AAAS)。2.3kbCol1a1-GFPの細胞をソートし骨折治癒にどう寄与するかを現在調査中である。
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