研究課題
慢性腸炎を背景に発症する炎症性腸疾患合併大腸癌は、背景の特殊性からその特異的な新規治療法が望まれており、大腸炎組織及び炎症性腸疾患合併大腸腫瘍組織におけるユビキチン化修飾関連タンパクの挙動を網羅的に明らかにすることで、新規治療法の構築を目指した。まず、デキストラン硫酸ナトリウム誘導性腸炎マウスモデルより大腸炎検体を採取し、ユビキチンに対するプルダウンアッセイを行った結果、大腸炎組織では正常大腸組織に比べてユビキチン化修飾、特にK48型修飾の亢進を認めた。同検体を用いたトランスクリプトーム解析では、大腸炎発症に伴い発現が変動する脱ユビキチン化酵素を複数同定した。次に、Azoxymetaneを前投与しデキストラン硫酸ナトリウム誘導性腸炎を誘発することで炎症性腸疾患合併大腸腫瘍マウスモデルを作成し、得られた大腸腫瘍組織でユビキチンに対するプルダウンアッセイを行った結果、大腸腫瘍組織では非腫瘍部上皮組織や正常大腸上皮組織に比べK48型のユビキチン化修飾の亢進を認めた。大腸腫瘍組織を用いたトランスクリプトーム解析では、大腸腫瘍発症に伴い発現が変化する脱ユビキチン化酵素を多数同定し、加えて大腸炎及び大腸腫瘍それぞれの発症に共通して発現が変動する脱ユビキチン化酵素を複数見出した。さらに、大腸組織におけるユビキチン化修飾タンパクを質量分析機で網羅的に分析した結果、大腸組織におけるユビキチン化修飾タンパクとそのユビキチン化修飾部位を数千個同定した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 484(3) ページ: 636-641
10.1016/j.bbrc.2017.01.159.