研究課題/領域番号 |
16H06778
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
池田 侑平 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (50778511)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 成長期 / 咀嚼刺激低下 / 変形性顎関節症 / ルブリシン |
研究実績の概要 |
変形性関節症(OA)は全身の関節に発症し、その罹患率は年齢とともに増加すると言われており、2060年には人口の約40%が65歳以上という超高齢社会を迎える日本にとって、OAのメカニズムを解明し、その予防法および治療法を考案することは重要な課題である。顎顔面領域における唯一の関節である顎関節におけるOAは、下顎頭の形態異常および下顎頭軟骨の変性を主たる特徴とするが、他の関節同様に未だ不明な点が多い。 基礎研究として、成長期ラットの咬筋切断および液状飼料飼育により、実験的に咀嚼筋力を低下させた結果、下顎枝の高径減少、下顎頭軟骨の厚径減少および顎関節に分布する神経線維の低形成を引き起こすことが解明されている。また、咬筋切断後に機械的負荷をかけると、顎関節において滑膜炎が悪化することや、成長期ラットの液状飼料飼育による機能低下した脆弱な下顎頭において、機械的負荷をかけると形態学的・組織学的な低形成およびOA様変化を生じたことから、負荷に対する抵抗性が低下していることが明らかにされている。しかしながら成長期の咀嚼刺激低下に起因する顎関節周囲構造の低形成および潤滑機能異常が、機械的負荷に対する顎関節OA発症および進行のメカニズムに如何に関与するかを形態学的・組織生化学的観点から解析した報告は過去にない。 そこで本研究では、成長期の咀嚼刺激低下が顎関節周囲構造である下顎窩、滑膜および関節円板における低形成を引き起こし、潤滑機能を担うルブリシン産生能の変調を生じることが、機械的負荷に対して顎関節OAを誘発する新たな経路であるか否かを解明していくことを考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験開始前の事前準備として、ラットへの飼料および装着器具の変更が必要になる可能性が生じ、再検討を行ったため。また、組織学的解析、生化学的解析を行うためにサンプルの採取方法に関する新たな知見を得る必要が出たため。
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今後の研究の推進方策 |
再検討したラットへの飼料、装着器具に関する実験手技を確立した後、組織切片を作製、各種染色へと移行する。 具体的には、Toluidine blue染色にて下顎頭軟骨細胞層および滑膜組織等の顎関節周囲組織の形態変化を観察し、評価を行う。また、抗ルブリシン抗体の免疫組織化学染色および生化学的解析を行い、顎関節の潤滑機能の変調に関する観察を行う。
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