本研究では多孔性管腔構造の成長因子併用の効果と新規骨補填剤の開発を目的として研究を行った。実験計画では様々な管腔構造を有するβリン酸カルシウムを作成し比較する計画とし実際にこれまでの実験で使用した孔径300μmを有するトンネル状のβ-TCP顆粒を凝集させた骨補填材を使用し、従来の顆粒状、緻密上の異なる形状の骨補填材の比較を行った。孔径300μmを有する骨補填剤は血管新生を促し、骨形成が従来の骨補填剤に比べ良好であることが示唆された。本研究の結果は国際歯科学会にて発表を行った。しかし補填した材料を理想的な骨形態に維持することは難しいため、マクロ構造に加え、成長因子等により骨形成をより早期に促すことができるマイクロ構造の検討が必要である。そのため幾何学的構造を検討し実験を行ったが、補填剤の形態を維持し、従来の補填剤としての効果を増進させる構造の発見には至らなかったため、今後細胞の増殖および分化の発現に関しては理想的な骨補填剤の開発には幾何学的な構造だけでなく既存の構造からマイクロ構造を付与するなど更なる検討が必要であることが示唆された。また増殖因子であるFGFとβ-TCPスポンジの併用による、露出した歯根を被覆する効果に関して大型動物実験を行い、FGFとβ-TCP併用は骨形成において有効であることが示唆された。本研究は国際雑誌にて報告を行った。 さらに現在、歯周治療で使用されている異種骨を用いた歯槽堤増大術後の継時的な変化の三次元的評価に対する臨床研究を行った。本研究により歯槽堤増大術に異種骨を使用することの安全性と良好な骨形成が得られることが示唆された。本研究の結果は国際シンポジウムにて発表を行い優秀ポスター賞を獲得した。
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